【ドミニカ野球留学】カリブ海で現地指導者の話を聞く( 3日目~最終日)

ドミニカ野球留学

2019年8月、ドミニカ共和国へ野球の指導を学びに行きました。大学四年生の夏ということで、大学入学時から続けているボーイズでの活動をさらに充実したものにするために、修行を兼ねて単身ドミニカへ行ってきました。このブログではいくつかの記事に分けてその様子を公開しています

カブスのアカデミー

三日目はカブスのアカデミーにお邪魔した。一日目に見学したドジャースのアカデミーよりも施設が広いという印象だった。どうやらドミニカ共和国のボカチカという場所に野球の施設は固まっているようだ。

ここでもアカデミーのサマーリーグの試合が行われいていた。やはり、観客は少なく、試合も静かで落ち着いた雰囲気だった。

退場させられる高校生

ドミニカでは短い滞在期間の中でも自分なりに良い部分と悪い部分を見ることができた。その中であまり良い部分ではないと思ったのは選手の審判に対する態度だ。

この試合でも判定が気に食わない選手が審判に暴言を吐いて退場させられていた。おそらく高校生年代の選手である。日本ではこのようなことはほとんどありえない。

そこから感じたことは責任の在り処だ。日本では野球部に在籍する生徒が飲酒喫煙などをするとチームの責任として扱われ、たとえ甲子園の出場が決まっていても辞退しなければいけない。そもそも日本の高校生はしっかりと教育されているので、審判に暴言を吐くようなことはほとんどないが、仮にあったとしても一選手が退場処分になることはないのではないだろうか。日本の高校野球はチームワーク、団体行動を重んじるため、個人が責任を負うということは珍しいことだと感じる。

対して、ドミニカの高校生は勿論チームの勝利のために戦うが、自分がメジャーリーガーになることを第一に考えている。なんだか周りとの関係性も、高校生の時点で一人の大人として扱われている気がする。あくまで個人的な感想だが、ドミニカの高校生の野球の雰囲気は、日本で例えるとプロ野球に近い雰囲気だ。

だから、一人の選手が試合中に退場処分になっても他の選手は何食わぬ顔でプレーを続けることができるのだと思う。ドミニカの高校生はなんだか大人びて見える。プレーも何かにおびえているのではなく、堂々としている。それはチームというよりも自分の責任で色々なことを判断しているからではないかと思える。これは良くも悪くも日本の高校生とは違う部分だ。

市内観光で見たドミニカ人の国民性

サント・ドミンゴの旧市街

サント・ドミンゴの旧市街は新大陸の歴史の幕開けの場所だ。1496年にコロンブスの弟であるバルトロメ・コロンによってサント・ドミンゴが開かれ、新大陸初のスペイン植民地となった。現地の言語がスペイン語なのもこういった歴史が関係している。現在、大学で社会科の教員免許状を取得中なので野球以外の町の様子なども見る時間があったのはとても楽しかった。

日曜日だったこともあり、旧市街は多くの人であふれていた。旧市街に限ったことではないが、ドミニカの人々はとても陽気だ。お土産屋でも内容はわからないが色々と話しかけられ、なんだか楽しい気分になった。


サントドミンゴの旧市街

カリブ海で迎える最終日

最終日は前日の旧市街に続きカリブ海での市内観光だった。海といえば湘南、鵠沼の自分にとって、ドミニカの海は信じられない綺麗さだった。

ここでも人々は陽気でその場の雰囲気が勝手にテンションを上げてくれた。陽気なのは良いのだが、現地の人々はものすごく商売っ気が強い。すぐに謎の果物を買うように勧めてきたり、勝手にマッサージをし始めたり、断らなければあっという間に一文無しになってしまう。

そういう人たちは決して裕福ではないので、その日その日を生きるために必死な人が多いのだ。彼等は歌舞伎町の客引きの何倍も押しが強い。断っても断っても諦めずに目の前何かを喋っている。

これは国民性なのだと思うが、人々はとにかくポジティブだ。これは野球にも関係してくると思う。ドミニカの中高生が日本では考えられないようなプレーをできる理由は指導の仕方が半分、そしてもともと持っている国民性が半分だと思う。

日本でどれだけドミニカ流の指導をしても、同じような選手、人間は育たないだろう。取り入れるべきところは取り入れ、そうでないところは文化の違いとして理解する姿勢が必要だと感じた。

アントニオ・バウティスタとの対談

海で軽く泳ぎ、砂浜で食事をした後、15:00ころにアントニオ・バウティスタさんという方と合流した。バウティスタさんはドジャースアカデミーで20年以上指導者をしている方だ。ドミニカの野球を外から見ることはできたが、指導者の方とゆっくりお話をする時間はあまりなかったのでとても貴重な時間だった。

ここですべてを紹介することはできないが、1時間ほどの時間で大事な話をいくつも聞くことができた。技術的なことから選手への接し方など、様々な話を聞いた。休む間もなく記録したメモ帳の中からその中でも印象に残っている言葉をいくつか紹介したい。

全員に同じように接する

簡単なようで難しいことだ。また、全員に同じように接するということは、その日のうちに会話をしない選手がいてはいけないということだ。初めは意識して、のちに無意識でできるようにしようと思う。

選手をリスペクトする

阪長友仁さんの著書にも書かれているが、選手と指導者の関係性はリスペクトが大切だという。自分の子供も他人の子供も同じようにリスペクトして、接しなければいけない。ドミニカの子供たちが大人びているのはすでに一人の大人としてリスペクトされているからではないかと感じた。

冗談も言えなければいけない

これは自分にとっての課題だと思う。良い指導者は冗談をうまく使える。自分の場合はついついまじめな部分が多く出てしまう。バウティスタさんが言うには、選手に怖いと思われると痛いところは正直に言わないし、コミュニケーションもとれなくなるので、面白いことを言えるようになる必要があるという。もしかしたら、クソ真面目にメモを取る僕のことを見てこのようなアドバイスをしたのかもしれない。

最後に

他にも色々と大事なことを教わった。ドミニカの中高生を見て、「どうしてこんなに積極的に動けるのだろうか」と疑問に感じ、滞在期間中にずっと考えていた。

その答えの一つはドミニカの環境であり、性格だろうと思う。やはりポジティブで「なんとかなるだろう」という雰囲気が町中に漂っている。しかし、それだけではない。やはり指導も関係している。選手へのリスペクト、対等な関係が選手の主体性を生むことは間違いない。

最終日のアントニオ・バウティスタさんとの対談で答え合わせを出来たような感覚だった。これを機に「コーチ」という役割についてゆっくり考えてみようと思う。

おまけ

チームの公式ホームページにも、ドミニカ共和国で感じたことを紹介しています。良かったらご覧ください。


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