【具体と抽象】圧倒的具体こそが自分の地盤。やがて抽象と具体の往復。

読書録

この本を読もうと思ったきっかけ

前回、学生時代に読んだ『メモの魔力』をもう一度読んでの感想を記事にした。
その中で、細谷功『具体と抽象』が紹介されていたので、今回手に取ってみた。

ここでは内容の紹介というよりは、この本を読んで今後自分がどう動いていくかを書き記しておきたいと思う。

抽象化とは

抽象化とは何なのか。

あの人の話は抽象的過ぎてわかりづらい。
もう少し具体的に話してもらえない?

このように、抽象はネガティブなニュアンスで使われることが多い。

しかし、抽象化する能力は、人間の進歩の最大の要因ともいえる素晴らしい能力なのだ。何しろ、ここまで文明を進化させてきた、言葉や数の概念も抽象化に他ならないからだ。

一つ一つの物事(=具体)をまとめて、共通点を見つけ、分類したものが抽象だ。そして、それを他の物事に転用することで、人類は他の生物の何倍ものスピードで進歩してきた。一つのことから学習し、それを他のことに活かす。再現可能性がキーワードとなるだろう。
(このあたりのことは実際に本を読んでいただきたい。)

抽象とは決して悪いものではない。むしろ、抽象化なくして人は生きられないのだ。

具体と抽象の関係については、他の本紹介動画などよりも、受験生向けの下の動画がわかりやすいのでオススメ。

具体と抽象【現代文 読解方法の基礎 第6講】

理想と現実

あなたの目標はこの質問に対しての答えは大きく二つに分類することができる。

一つは、
「自分の頑張りで周りの人を笑顔にしたい!」

もう一つは、
「スイングスピードを春までに15キロ上げたい」

この二つだ。
これは具体性の違いによるものだ。

一つ目の目標の方が、範囲が広い(一般性が高い)ため、志が高く聞こえやすい。
一方、二つ目の目標の方は良くも悪くも現実的な感じがする。

これは、どちらが良い悪いではない。

メリット・デメリットを抑えてどちらも使えるようにしたい。

抽象的な目標

メリット

抽象的な目標は、「日本一になる」や「人を幸せにしたい」のように、具体的な期限などの数字がかかわってこない。

そのかわり、含む範囲がものすごく広くなるので、自分や組織の行動の様々なレベルに応用することができる。

例えば、「人を幸せにする」という目標を持っていたなら、町を歩いていても、困っている人への声掛けやゴミ拾いなどと言う形で、無限に応用ができるのだ。

また、何か小さい目標が達成できなかった時にも、より大きな目標があれば、その度に「自分はより多くの人を幸せにするために生きているんだきているんだーーー!」と奮起することができる。

デメリット

対して、もちろんデメリットもある。

抽象的な目標は達成されたか、されていないかがわかりづらいという点がデメリットとしてあげられる。もっと、刺さる言い方をすると、いくらでも言い訳・先延ばしが可能だということだ。

また、抽象的な目標では範囲が広すぎる分、逆に他の人がどう動いて良いのかがわからなくなってしまうという点も挙げられる。

例えばだが、僕が相模原ボーイズの知名度を上げるというある種抽象的な目標を持っていたとしよう。他の人にそれを伝えて、「一緒に頑張ろう!」と言っても、その人は「はて?頑張りたいけど何を頑張ればいいの?」となってしまう。

そんな時、具体的に「Twitterを動かしてよ。」というと、公式Twitterを管理するという具体的な行動に移すことができる。さらに、「活動があった日に、その日の様子をなるべく写真付きでアップして」と、より具体的に何をするかを伝えれば、更に動きやすくなる。

ちなみに、具体的に指示しすぎると、やらされているだけになり、面白くなくなるが、任せた以上は必要最低限しか関わらないでいると、色々と工夫が出てくるので面白い。

※ちなみにチームのInstagramは最近ストーリー機能も動いているのでとても面白い。

話が逸れてしまったので、目標の話に戻ろう。

具体的な目標

メリット

先ほどの裏返しだが、具体的な目標は期限、達成したい数字や場所が入ってくるので、実行に移しやすい。

組織の場合にも、個人の場合にも目標に具体性があれば、即実行に移すことができる。確実に実行したい、という場合にはできるだけ具体性を増やしていくことが大切だ。

デメリット

具体性のある目標はわかりやすく、自分も組織の仲間も取り組みやすい。
ただ、一つ欠点がある。

それは、目標となる数値が独り歩きしてしまうという点だ。
先に挙げた、町中のごみ拾いの話を例にしてみよう。

始めは、「人を幸せにする」という素晴らしい目標があった。その目標のために、具体的に考えられたのが、町中で一日10個ゴミを拾うという行動目標だった。

しかし、時間が経つにつれて、本来の大きな目標が見失われ、一日にごみを10個拾うという目標だけが独り歩きすることになる。

こうなると地獄だ。何のためにやっているのかわからないゴミ拾いを、手を汚しながらただただ続けるということになる。


こうならないために、抽象的な目標(僕は「目的」と呼んでいる)をいつも心の中で考えておくことが不可欠なのだ。

今やっていることは何のためなんだろう。いつも問いたい。




今は具体の積み重ねの時期

ここからは僕の考えだ。

世の中は一つ一つの具体(=実際に存在するの一つ一つ)の積み重ねだ。
そして、世界の全体像はその具体を見てなされた解釈の問題だ。

細部からしか全体は浮かび上がらない。
圧倒的な具体の積み重ねからしか、抽象的な世界は出来上がらない。

野球の指導で言ったら、目の前の一人一人の弱点に向き合って、どうしたらいい動きができるようになるのか。そこと向き合わない以上は、指導理論なんて確立できない。

圧倒的具体を積み重ねた人が語る抽象的な話はとても格好いい。だけど、自分がそれと同じことをやろうと思っても、何か中身が伴っていない感じがしてしまう。

なぜなら、本当に中身(=具体)がないからだ。


ならば、今はひたすら具体を積み重ねよう。
野球で言えば、地味な勉強を黙々と続ける。それを目の前の選手と見比べる。

塾講師という仕事で言えば、とにかく具体的な事例(出題例)にひたすら向き合う。


そして、圧倒的具体の「圧倒的」とは質ももちろん大事だが、量もかなり必要になってくる。ということは、体力的に動ける若い時にやるしかないのだ。

動こう。圧倒的具体を積み重ねよう。もちろん、抽象的な高い高い理想。「こういう自分でありたい」という思いと共に。

この本をオススメしたい人

誰にでもオススメできるんだけど、強いて言えばアウトプットの質が自分の仕事などに直結する人だろうか。

○話・文章が長いといわれる人
○話が具体的じゃないといわれる人

僕はこの本は「読む・聞く」ことよりも、「話す・書く」ことに活きてくると感じた。
何らかの形で自分が考えていることを自分の外に出す機会のある人で、何か伝わり方に微妙な誤差を感じる人は是非読んでもらいたい。

著者について

ビジネスコンサルタント。1964年、神奈川県に生まれる。東京大学工学部を卒業後、東芝を経てビジネスコンサルティングの世界へ。アーンスト&ヤング、キャップジェミニなどの米仏日系コンサルティング会社を経て、2009年よりクニエのマネージングディレクターとなる。2012年より同社コンサルティングフェローに。専門領域は、製品開発、営業、マーケティング領域を中心とした戦略策定や業務/IT改革に関するコンサルティング。あわせて問題解決や思考力に関する講演やセミナーを企業や各種団体、大学などに対して多数実施している。 著書に、『頭力を鍛える』(東洋経済新報社)、『いま、すぐはじめる地頭力』(だいわ文庫)、『「Why型思考」が仕事を変える』(PHPビジネス新書)、『象の鼻としっぽ』(梧桐書院)、『アナロジー思考』(東洋経済新報社)、『会社の老化は止められない』(亜紀書房)、訳書に『プロフェッショナル・アドバイザー』(デービッド・マイスターほか著、東洋経済新報社)、『ハスラー』(アリ・カプラン著、亜紀書房)などがある。
(Amazonサイトより引用)

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