早稲田大学は子どもから年配の方まで多くの人が知る有名私立大学で、毎年多くの受検者が集まります。ただ、偏差値比較的高く、入試問題も難しいため、不合格者が後を絶ちません。そんな早稲田大学に、高校野球を引退してからの200日あまりで合格することができました。ここではその時の受験生活を振り返りながら、「今考えると大切だったな・・・」と思うことを記事にしています。
どんな高校生活だったのか?
僕は高校時代、3年間野球部に所属しており、毎日が部活漬け。朝は6:00には起きて自転車で通学し、授業・部活を終えて夜は20:30に下校、帰宅は21:30という生活の繰り返しでした。そのため、毎日勉強なんてできるわけもなく、試験期間の勉強のみで赤点を回避するのが精一杯という感じでした。高校選びも、野球を第一優先に考えて、一般推薦の作文と面接のみで入学しているので、周りと比べても学力は中の下でした。
その結果、高校3年の春の時点で、偏差値は英語39.9、国語46.8、社会59.2、私立三科目で48.6でした。
偏差値は50を平均として、受験生全体の中で自分がどのあたりにいるのかを示しています。つまり、偏差値40代ということは、受験生全体の平均以下。かなりヤバい状況です。
それに対して、早稲田大学の偏差値は、最低でも62、僕の入学した文学部は67です。最終的にそこまで偏差値が上がり切ったわけではないのですが、そのなかでもどうやって逆転可能なところまで引き上げたのかをここでは振り返っていきます。
当時の状況
・東京の自称進学校
・高3夏までバリバリ部活
・偏差値は平均以下
・志望校決定は5月
・理由は格好いいから
異例のスタート
塾には行かない
2015年7月19日、僕のいた桜美林高校は国士舘高校という同じ地区の強豪校に敗れました。長いようで短い高校野球の終わり。同時に受験生としてのスタートでもありました。引退の翌日はさすがに遊びほうけたものの、翌々日からは気持ちを切り替えて勉強を始めました。
勉強を始めるにあたって、僕はすぐに有料の自習室を契約しに行きました。偏差値が鬼のように低かった僕は、ネットで色々な情報を探して、「独学が最高の勉強法」という考え方を知りました。高3の7月から勉強スタートだったため、とにかく時間がないと思い、最速で無駄が少なそうな独学を選択したのです。
市販の参考書と学校の先生への質問だけで早稲田と戦うことを決めた僕は、東進や河合塾などの予備校を探すのではなく、自習室を探しました。ネットで検索したところ、何件か引っ掛かり、家から一駅分はなれた月額11000円の有料自習室を契約することになりました。
座る練習から
初めの一週間は、本当に集中力が持ちませんでした。まさに「座る練習」という感じ。何とか長時間机に向かって、勉強できるようになったのが1週間たった頃でした。
そこから少しずつ、毎日やっていることが身になっている実感がわき、夏の終わりには一通りの基礎を一周し終えたという感じでした。基礎というのは、例えば英単語を覚えたりとか、そういうことです。
もちろん、参考書だけではわからないところもあるので、その時にはパソコンで授業を見ていました。上には参考書だけと書いていましたが、実は微妙に嘘で、ネットのオンライン授業も見ていました。(サーセン。)それでも予備校の授業とは違って、倍速で見ることもできるし、自分の見たい授業だけを選んでみることも可能です。
夏休みで時間があったことも幸いし、独学のおかげでそれなりのスピード感をもって勉強できていたと思います。
※きちんと理解するには教わった方が良い場合もあります。また、読むのが得意な人とそうでない人の違いもあります。学ぶ内容によっても最適の勉強法は異なるので注意が必要です。
人と環境
「環境は人が作る。その環境が人を作る。」
佐相眞澄(県立相模原高校野球部監督)『神奈川で打ち勝つ!超攻撃的バッティング論』190頁
これって、何にでも当てはまる言葉だと思うんですよ。そこで成長しようと思ったら、自分が環境を整える。僕の受験勉強もまさにそこがうまくいきました。
自習室には勉強道具の他には何もない状態。漫画もなければ、寝っ転がってしまう布団もありません。そこに行けば0秒で勉強を開始できる状況がありました。この、「0秒で開始できる」という言うのは何においてもすごく大事です。何も考えずに開始できるのは、人間の行動心理を考えたときにとても重要。
例えば勉強なら、机の上にやるものが常に置いてある状況をつくることで、棚から教材を引っ張り出すという手順を一つ省くことができます。これが重要なんです。
もう一つ例を出すと、毎日バットの素振りをしようとなった時、玄関にバットが置いてある状況が理想なんです。そして、素振り用の靴がすぐ履けるようになっていることが大切です。わざわざどこかからバットを持って来たり、靴を引っ張り出したりするのは見えないストレスなんですね。
本当にやりたいことのための前の準備に時間と思考がとられてしまうというのは非常にもったいないこと。もはや自分がオート(=自動)で動ける環境を自分で作る。これが何よりも大切です。
時間が見えるアプリ
勉強時間の管理
夏休みが終わって二学期。学校が始まると、生活リズムを一定にするのが楽になりました。その一方で、丸一日勉強することができた夏休みに比べると、一日の勉強時間はどうしても少なくなります。だからこそ、どのくらいの勉強ができているのか、何をどのくらい勉強したのかを把握することは極めて重要でした。
僕には受験開始から愛用していたアプリがあります。それが、スタディプラスというアプリです。自分の勉強時間を入力すると、グラフになってそれが蓄積されていきます。勉強量が目に見えてわかるのでモチベーションにもつながりますし、どの科目をどのくらい勉強したのかが一目でわかるので、めちゃくちゃ便利です。正直このアプリがなかったら合格はなかったと言っても過言ではありません。
勉強量の可視化
このアプリを使ってもう一つ良かったことは、勉強量=努力の成果が目に見えてわかったことです。とにかく何でも良いので、自分の頑張った”あしあと”は残した方がよいと思ってます。ノートでも良いし、使い切ったボールペンの芯でも何でもよいので、自分の成果が目に見えるとモチベーションにつながります。
ちなみに僕はこのアプリで勉強時間を記録するほかに、消しゴムのかすをガムのボトルに貯めていました。今思うと非常に汚いのですが、当時はそれが勉強の証だと思ってたんですね。。。
話をもとに戻すと、とにかく時間の使い方が未来を決めるということです。限られた時間をどう使うか。そこに何を詰め込んでいくかで未来=人生が変わるということを学びました。これからも肝に銘じていきたいことです。
毎日同じことを
ルーティン化=習慣化は最強です。時間を有効に使おうと思ったとき、「次に何をしようか」を考える時間ほど無駄な時間はありません。
無意識の強さ
あなたは歯磨きをするときに、「歯磨き粉をこうやってつけて、この角度で歯ブラシを・・・」なんて考えますか?もちろんそんなことはないですよね。それは歯磨きが習慣になって体に染みついているからです。
この習慣を増やしいていくと、人生はものすごく楽になります。受験勉強でも同じ。「朝は英単語、自習室についたら現代文。それが終わったら英語の長文を読んでそのまま音読・・・」といったように、毎日やることを完璧に決め込んでいきます。
やるならとことんやる
僕はこのルーティンをとにかく意識しました。しまいには服装まで。高校生である以上、受験勉強で一番長く身につけるのはおそらく制服です。そのため、休みの日でも何でもズボンはずーっと制服でした。上半身は柔らかいものが良かったので、決まったパーカーをひたすら着続けました。そして試験会場にも同じ服装で行き、到着すると自習室で使っていたサンダルに履き替えるという徹底ぶりでした。
持ち物もかばんも、イヤホンで聞く音楽も全て同じ。とにかくルーティンにこだわり続けました。その結果、数多くの大学を受験しましたが、センター試験(現在の共通テスト)を含めて緊張することは一切ありませんでした。高校野球の時に言われ続けた、「準備が全て」というのはここで実感しました。
目標があるから大きく成長する
最後に一番大切なことです。受験生活を通して学んだ一番大きなこと。
それは、「目標は口に出し続けるべき」だということ。引き寄せとか思考の現実化とかいろいろ言われていますが、難しいことはよくわかりません。ただ、言葉にしなければ一生自分の頭の中だけで終わってしまうのです。
恥ずかしくても言葉にする。思えば、僕の受験勉強はある日部活が終わって家に帰り、「早稲田めざすわ」と親に宣言したのが受験生活の始まりでした。学校の授業では、志望校の話になった時に、「早稲田です」とクラスで発言し、結果的に宣言するような形になったこともありました。
自分が自分を信じてあげる。その証として、恥ずかしくても言葉にし続けることが大切です。
高過ぎると思いながらも言葉にし続けた目標を、最後まで応援し続けてくれた親や学校の先生には感謝してもしきれません。
ひき逃げされた(おまけ)
このことについて、詳しくは別の記事で書いています。これによって、僕は少しだけの勉強時間と、少し多めの数の大学に出願する権利を得ました。かなりのイレギュラーですが、こんな一件もあり、そんなことさえもプラスに捉えるメンタル面の安定が、充実した受験生活につながったのだと思います。
最後に
ここまで読んでくださった方、時間を頂きありがとうございます。受験生活を通して得たものは本当に大きかったと改めて感じる機会になりました。また、この経験が自分が今、塾講師をしている原点であり、伝えたいという想いの源泉の一つです。
改めて、関わった方への感謝を一生忘れないこと、大学受験をピークにせず学び続けることをここに誓います。
これからかかわる子どもたち、そしてすべての人のために。
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