今日、チームの活動中にバッティング練習のピッチャーにライナーの打球が当たった。しかも、そのバッピはヘルメットやヘッドギアを被っていなかったのだ。
幸いだったのは、そのバッピを務めていたのが選手ではなく僕だったことと、その後、脳神経外科にかかったが何ともなかったということだ。
良い機会なので、自戒を込めて硬式野球の危険性と頭部を守る重要性について書こうと思う。
当たった直後
うちのチームのホームグラウンドでは広い場所でフリー打撃をすることはできない。そのため、ブルペンほどの広さのバッティングゲージで練習するしかないのだ。(2019年現在)
これでも好きな時に前からくるボールを打つことができるというのは、硬式クラブチームの中では環境としては整っている方だと思っているのだが。
今日は小雨の降る中、地面の水たまりの関係で、近距離でバッティングピッチャーをする必要があった。そのため、安全のことを考え、選手ではなく指導者が投げることになったのだ。
L字のネットから、ボールを投げる。中学生相手なので、楽な気持ちで投げていた。
練習開始から1時間ほど経った頃だっただろうか。学年の中では比較的バッティングの良い選手が打っている時だった。自分の左側に飛んだと思ったライナーが、気が付いたら左のこめかみにあたったのだ。
久しぶりに目の前を星が飛んだ。
直撃ではなかったのだが、痛烈なライナーがバッティングゲージの単管パイプに当たって、こちらに跳ね返ってきたのだ。
ヘルメットやヘッドギアを付けずにバッピをしていた僕は、さすがにその場で交代し、アイシングパックで側頭部を冷やした。
当たった直後、20分くらいは頭が割れたのではないかというくらい痛かった。痛みで涙目になったのはいつ以来だろう。めまいや吐き気はなく、普通に冗談を言えるくらいの気分ではあったのだが、何よりも痛かった。症状でいえば軽い脳震盪だっただろうか。
お金で安心を買う
30分くらいしても痛みは変わらなかった。調べてみると、側頭部は頭がい骨の部位の中で一番骨が薄いそうだ。そんな記事を見ると途端に心配になる。ふとあるアニメのワンシーンを思い出した。
僕の少年野球時代の支えになった『MAJOR』。主人公本田吾郎の父、茂治はバント攻撃に冷静さを欠いたジョーギブソンの158キロを頭部に受け、翌日亡くなった。
あくまで物語の中の話だが、幼くして父親を亡くし、
「返して… 僕のおとさんを返してよお~~~~!!」
と泣きじゃくる吾郎が死球を投じたギブソンに体当たりするシーンは衝撃的だった。
野球で人は死ぬのだ。
僕はこのことを現実ではなくフィクションで学んだのかもしれない。
現実にも、硬式野球ボールが当たって大きな後遺症が残ったという話は耳にすることがある。僕はこれらの話を思い出し、すごく不安になってた。
また、自分の身体のことなのでなんとなくわかるが、「一応病院に行った方が良いな」と思うくらいの痛みがあった。少し考えたが、念のためということで、僕は脳神経外科に行くことにした。練習中で、選手たちやほかの指導者には申し訳なかったが、途中で練習を抜けさせてもらった。
病院に行き画像診断などもしたが、幸い特に何の問題もなかった。保険証は持っていたが、それでも5000円以上はかかった。だが、このお金で安心を買ったと思えば、妥当な買い物かもしれない。
病院とは治療のためだけに行く場所ではなく、安心を得る場所でもある気がする。今日の午後もグラウンドに戻ることができたし、これで明日も安心して練習に参加できる。
ちなみに、詳しいことはわからないのだが、今回の場合スポーツ保険は通院一回につき1500円お金が戻ってくるらしい。
全額戻ってこないのは残念だがそれは仕方ない。
危機管理
今回でいえば、一応気を付けてはいたのだが、まさかボールが飛んでくることはないだろうという慢心があったことは間違いない。防球ネットの配置など、まだまだ怪我を防止するために出来ることはあった。
準備とは最低最悪の状況にも対応できることを言う。高校野球で教わったことだ。この考えが守備のバックアップなどにもつながってくる。
特に、硬式ボールは命にかかわることだ。絶対に怠ってはいけない。
今回はボールが当たったのが選手でなくて本当に良かった。
改めて、お子さんの命を預かっているのだということを自覚した一日だった。
これを読んでくださっている指導者さんも、ヘッドギア、ヘルメットの着用は絶対に忘れないようにしていただきたい。指導者でもそれは変わりない。また、ネットの配置などの確認も徹底して。
フェイスガードについて
ヘルメットのフェイスガード導入が話題になっている。
高校野球でも練習試合では取り入れる高校があるらしい。
ボーイズリーグでは今のところ禁止されている。経済的な問題だろうか。
だが「c-flap」という製品は5000円もせずに販売されている。
だが、本当に選手を守るためなら、フェイスガードの導入も考えなくてはいけないだろう。
たかが中学生の打球が間接的に当たったくらいで大げさかもしれないが、人が死ぬ時は本当に簡単に死ぬ。
「人事を尽くして天命を待つ」
逆に言えば、人事を尽くさない奴には天も味方はしない。
人の手でできることはすべてしたほうがいい。それで選手を守れるなら、その手間は惜しむべきではない。自戒を込めて。
学童野球・少年野球に関わる大人の皆さん、気をつけましょう。
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